妊娠中にできた、痛くてつらい口内炎。セルフケアを試しても一向に良くならない、あるいは、あまりの痛さに食事もままならない。そんな時は、我慢せずに医療機関を受診することが大切です。しかし、妊娠中というデリケートな時期だからこそ、「一体、何科に行けば良いのだろう」と、迷ってしまう方も多いでしょう。赤ちゃんと自分の体を守るために、最適な診療科を選ぶ必要があります。まず、最も身近で、妊娠中の体のことを第一に相談すべきなのが、「産婦人科」のかかりつけ医です。妊娠中のマイナートラブルとして口内炎は非常に多いため、産婦人科医もその対処には慣れています。妊婦さんに安全に使えるうがい薬や軟膏を処方してくれたり、栄養指導をしてくれたりします。また、口内炎の裏に、他の全身的な問題が隠れていないかという視点からも診てもらえる安心感があります。まずは、妊婦健診の際などに、気軽に相談してみるのが良いでしょう。次に、口の中の専門家である「歯科」や「口腔外科」も、非常に頼りになる存在です。口内炎の原因が、合わない入れ歯や、歯の鋭い部分が粘膜に当たっているといった、物理的な刺激である場合、その原因を除去する治療を行ってくれます。また、口内環境全体のチェックや、専門的なクリーニングを受けることで、口内炎ができにくい、清潔な環境を整えることができます。特に、痛みがひどい場合や、何度も繰り返す場合、あるいは、しこりのようなものができている場合は、より専門的な診断が可能な口腔外科への受診が勧められます。そして、もう一つの選択肢が、「耳鼻咽喉科」です。耳鼻咽喉科は、口の中から喉(咽頭・喉頭)にかけての粘膜疾患の専門家です。特に、口内炎が喉の奥の方まで広がっている場合や、ヘルパンギーナや手足口病といった、ウイルス感染による口内炎が疑われる場合には、内視鏡などを用いて正確な診断を下してくれます。どの診療科を受診するにしても、最も重要なのは、「必ず、妊娠中であることを伝える」ことです。現在、妊娠何週目なのかを正確に伝えることで、医師は、胎児への影響を最大限に考慮した、安全な検査や薬の処方を選択してくれます。我慢は美徳ではありません。専門家の力を借りて、つらい症状から一日も早く解放され、穏やかなマタニティライフを取り戻しましょう。
妊婦の口内炎、何科を受診すれば良いか