それは、ある朝、靴下を履こうと屈んだ瞬間のことでした。腰に、今まで感じたことのない、まるで電気が走るかのような激痛が突き抜け、私はその場にうずくまってしまいました。何とか立ち上がったものの、右のお尻から太ももの裏、そしてふくらはぎにかけて、ジンジンとした、まるで正座の後のようなしびれが残っていました。最初は、ぎっくり腰だろうと軽く考えていましたが、数日経っても痛みとしびれは一向に引かず、むしろ、少し歩くだけで足に力が入りにくくなるような感覚さえありました。インターネットで症状を検索すると、出てくるのは「椎間板ヘルニア」という、恐ろしい言葉ばかり。これはただ事ではないと、病院へ行くことを決意しましたが、次に立ちはだかったのが「何科へ行くべきか」という壁でした。腰の痛みだから整形外科か、それとも、しびれがあるから神経内科や脳神経外科か。それぞれの科の特徴を調べ、私は最終的に「整形外科」を選ぶことにしました。その理由は、まず、私の症状が、明らかな「動き」に伴って発生した、骨や関節周りのトラブルである可能性が高いと考えたからです。そして、整形外科であれば、まずはレントゲンで骨の状態を確認し、必要であればMRIで神経の状態まで詳しく調べてもらえること、さらに、薬やリハビリといった保存療法から、もしもの場合の手術まで、治療の選択肢が幅広いという点に、安心感を覚えました。実際に訪れた整形外科クリニックでは、私の話をじっくりと聞いた医師が、いくつかの身体テスト(足を上げたり、体を反らしたりするテスト)を行い、レントゲンとMRIの検査をその日のうちに手配してくれました。後日、画像診断の結果、私の腰椎の4番目と5番目の間で、椎間板が飛び出して神経を圧迫している、典型的な腰椎椎間板ヘルニアであることが確定しました。病名がはっきりしたことで、先の見えなかった不安は、治療への前向きな気持ちに変わりました。まずは、痛み止めの薬と、コルセットによる固定、そして神経ブロック注射という治療が始まりました。あの時、最初に整形外科を選んだことで、診断から治療までが非常にスムーズに進んだと感じています。