妊娠中に口内炎ができてしまうと、ただでさえ食事が偏りがちな時期に、さらに食べられるものが限られてしまい、栄養不足が心配になります。しかし、いくつかの工夫をすることで、痛みを和らげながら、必要な栄養を少しでも摂取することは可能です。大切なのは、「粘膜への刺激を徹底的に避ける」ことと、「口当たりが良く、栄養価の高いものを選ぶ」ことです。まず、避けるべき食品のリストを頭に入れておきましょう。香辛料を多く使った辛いもの、お酢や柑橘類などの酸っぱいもの、そして、醤油やソース、ケチャップといった味の濃い調味料は、傷口に直接しみ込み、激痛を引き起こします。また、熱すぎる食べ物や飲み物も、炎症を悪化させるため禁物です。せんべいやトーストの耳、揚げ物の衣といった、硬くて口の中を傷つけやすいものも、症状が落ち着くまでは避けましょう。では、どのような食事が良いのでしょうか。基本は、「柔らかく、人肌程度の温度で、薄味」のものです。主食としては、おかゆや、よく煮込んでクタクタになったうどんがおすすめです。タンパク質源としては、豆腐や茶碗蒸し、卵豆腐、プレーンヨーグルトなどが、口当たりも滑らかで食べやすいでしょう。野菜を摂りたい場合は、ポタージュスープや、じゃがいも、かぼちゃ、カブなどを柔らかく煮込んだものが適しています。これらの食材をミキサーにかけて、ポタージュ状にするのも良い方法です。飲み物も、ストローを使うと、口内炎に直接触れるのを避けることができる場合があります。栄養バランスが気になる時は、バナナやアボカドを入れた、甘さ控えめのスムージーも良い選択肢です。栄養補助食品として、プロテインパウダーを混ぜ込むのも一つの手です。そして、口内炎の治癒を助ける「ビタミンB群」を意識して摂取することも大切です。ビタミンB2は、豚肉やレバー、納豆、卵などに、ビタミンB6は、バナナやまぐろ、鶏肉などに多く含まれています。これらの食材を、前述したような食べやすい調理法で取り入れてみましょう。無理に食べようとすることが、さらなるストレスになることもあります。食べられるものを、食べられる時に、少しずつ。その心がけが、つらい時期を乗り越えるための鍵となります。