妊娠中に繰り返しできる、つらい口内炎。その発生を未然に防ぐためには、体の内側から口の粘膜を健康に保つための栄養素を、意識的に摂取することが非常に重要です。特につわりなどで食事が偏りがちな時期だからこそ、どのような栄養素が必要なのかを知り、工夫して食事に取り入れていきましょう。口内炎の予防と改善に、特に重要な役割を果たすのが、「ビタミンB群」です。ビタミンB群は、お互いに協力し合って働くため、単体ではなく、グループとしてバランス良く摂ることが大切です。その中でも、特に意識したいのが、「ビタミンB2」「ビタミンB6」、そして「ビオチン」です。ビタミンB2は、「発育のビタミン」とも呼ばれ、皮膚や粘膜の成長と再生に不可欠です。これが不足すると、口内炎や口角炎、舌炎などが起こりやすくなります。豚肉やレバー、うなぎ、卵、納豆、乳製品などに豊富に含まれています。ビタミンB6は、タンパク質の代謝を助け、皮膚や粘膜の健康維持に関わるほか、免疫機能を正常に保つ働きもあります。また、つわりの症状を緩和する効果も報告されています。まぐろやかつお、鶏肉、バナナ、さつまいもなどに多く含まれます。ビオチンも、皮膚や粘膜の健康を維持するために重要なビタミンです。レバーや卵黄、ナッツ類、きのこ類などに含まれています。これらのビタミンB群に加え、「ビタミンC」も積極的に摂りたい栄養素です。ビタミンCは、コラーゲンの生成を助けて皮膚や粘膜を丈夫にするほか、ストレスへの抵抗力を高め、免疫機能をサポートする働きがあります。パプリカやブロッコリー、キウイフルーツ、いちごなどに豊富です。また、粘膜の材料となる「タンパク質」や、細胞の生まれ変わりを助ける「亜鉛」も、健康な口内環境には欠かせません。つわりで食欲がない時でも、これらの栄養素を含む、豆腐やヨーグルト、バナナなどを、少量でも口にするよう心がけてみてください。食事だけで十分に摂取するのが難しい場合は、サプリメントの活用も一つの方法ですが、その際は、必ず事前に産婦人科の主治医に相談し、妊婦向けの安全性が確認された製品を選ぶようにしましょう。