朝、首に激痛が走り、寝違えてしまったと気づいた時、多くの人が反射的に、そして良かれと思ってやってしまう行動があります。しかし、その行動が、実は症状を悪化させ、回復を長引かせる原因になっていることが少なくありません。寝違えた直後の急性期に、絶対にしてはいけないことを覚えておきましょう。まず、最もやりがちで、最も危険なのが、「痛い部分を無理に動かす、ストレッチする」ことです。寝違えは、首周りの筋肉や靭帯が、微細な断裂を起こし、炎症を起こしている状態です。例えるなら、足首を捻挫しているのと同じです。捻挫した足首を、無理やりぐるぐる回したり、伸ばしたりする人はいません。首も同様で、炎症を起こしている部分を無理に動かすと、傷ついた筋繊維をさらに引き裂き、炎症を悪化させてしまいます。痛みが許す範囲で、最も楽な姿勢を保ち、安静にすることが第一です。次に、「痛い部分を強く揉む、マッサージする」ことも厳禁です。痛いところを揉むと、血行が良くなって楽になるような気がするかもしれませんが、それは大きな間違いです。急性期の炎症が起きている時に、外部から強い刺激を加えると、炎症反応がさらに助長され、腫れや痛みが増してしまいます。また、素人によるマッサージは、筋肉の深い部分を傷つけたり、神経を圧迫したりする危険性もあります。そして、「温める」行為も、発症直後は避けるべきです。お風呂で温かいお湯を首にかけたり、温湿布を貼ったりすると、血管が拡張して血流が増加し、炎症がさらに広がってしまいます。寝違えた直後の24時間から48時間は、炎症のピークです。この時期の鉄則は、「安静」と「冷却」です。痛みが強い場合は、冷湿布を貼ったり、タオルで包んだ保冷剤や氷嚢で、痛む部分を15分程度冷やしたりするのが効果的です。炎症を鎮め、内出血や腫れを最小限に抑えることができます。痛いからと焦って何かをするのではなく、まずは何もしないで休ませてあげること。それが、回復への一番の近道なのです。
寝違えた直後に絶対してはいけないこと