転んで膝を擦りむいた、調理中に指をすりおろしてしまった。日常生活の中で、擦り傷は誰もが経験する、非常にありふれた怪我の一つです。軽い擦り傷であれば、自宅での手当てで十分な場合も多いですが、傷が深かったり、汚れがひどかったりすると、「この傷、病院で診てもらった方が良いのだろうか。そして、行くなら何科だろうか」と迷ってしまうこともあるでしょう。結論から言えば、擦り傷で病院を受診する場合、まず最初に検討すべき診療科は「皮膚科」または「形成外科」です。皮膚科は、その名の通り、皮膚に関するあらゆる病気やトラブルを専門とする診療科です。擦り傷も、皮膚の損傷であるため、まさに専門領域と言えます。皮膚科では、傷の状態を正確に診断し、適切な消毒や軟膏の処置、そして感染症を防ぐための指導を行ってくれます。特に、傷がじゅくじゅくしていたり、腫れや痛みが増してきたりといった、感染の兆候が見られる場合には、皮膚の専門家である皮膚科医の診断が不可欠です。次に、「形成外科」も、傷の治療における重要な選択肢です。形成外科は、体の表面の変形や欠損を、機能的にも美容的にも、より正常な状態に修復することを専門とします。そのため、傷跡をできるだけ綺麗に治したい、という希望がある場合には、形成外科への受診が特に推奨されます。顔や手足など、目立つ部分に傷ができてしまった場合や、広範囲で深い擦り傷、あるいは砂やアスファルトの粒子が皮膚の奥に入り込んでしまった「外傷性刺青」の可能性がある場合は、形成外科での専門的な治療が、将来的な傷跡の悩みを軽減してくれます。また、近所にかかりつけの「外科」や「整形外科」がある場合、そこでも初期対応は十分に可能です。特に、整形外科は、骨や関節の怪我を伴うような転倒による擦り傷の場合、骨折の有無も同時に診てもらえるというメリットがあります。どの科を選ぶにせよ、大切なのは自己判断で放置せず、心配な場合は専門家の診察を受けることです。
擦り傷で病院へ行くなら何科が正解か