妊娠中に口内炎ができてしまった時、薬に頼る前に、まずは自分でできる、安全で効果的なセルフケアを試してみましょう。日々の少しの工夫が、つらい痛みを和らげ、治癒を早める助けとなります。まず、最も基本かつ重要なのが、「口の中を清潔に保つ」ことです。口内炎は、口の中の細菌が繁殖することで悪化します。食後は、できるだけすぐに歯磨きやうがいをする習慣をつけましょう。歯磨きの際は、歯ブラシのヘッドが小さく、毛先が柔らかいものを選び、口内炎の患部にブラシが当たらないように、優しく丁寧に磨きます。歯磨き粉も、香料や発泡剤などの刺激が少ない、低刺激性のものを選ぶと良いでしょう。うがいは、水道水で十分ですが、殺菌効果を期待するなら、「塩うがい」もおすすめです。コップ一杯のぬるま湯に、小さじ半分程度の塩を溶かして、喉の奥までガラガラとうがいをします。塩水には、穏やかな殺菌・消炎作用があり、粘膜の腫れを和らげる効果も期待できます。刺激の強い市販のうがい薬は避けましょう。次に、痛みを直接的に和らげる方法として、「患部を冷やす」という手があります。口の中に、小さな氷のかけらを含んで、痛む部分にそっと当てることで、一時的に感覚が麻痺し、痛みが和らぎます。食事の前に試してみると、少し食べやすくなるかもしれません。また、意外と効果的なのが、「はちみつ」を塗ることです。はちみつには、強力な殺菌作用と抗炎症作用があり、古くから口内炎の民間療法として用いられてきました。清潔な綿棒の先に、少量のはちみつを取り、患部に優しく塗布します。ただし、1歳未満の赤ちゃんには、ボツリヌス症のリスクがあるため、絶対に使用しないでください。そして、体の中から治癒を促すためには、「十分な休息と睡眠」が不可欠です。ストレスや疲労は、免疫力を低下させ、口内炎の治りを遅らせる最大の敵です。妊娠中は、ただでさえ体が疲れやすい時期です。つらい時は無理をせず、家事などを家族に協力してもらい、意識的に体を休める時間を作りましょう。これらのセルフケアは、即効性のある魔法ではありませんが、自分の体をいたわり、自然治癒力を高めるための、安全で優しい第一歩となるはずです。
口内炎の痛みを和らげる安全なセルフケア