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2026年1月
  • その足のだるさ、本当に下肢静脈瘤?似た症状の病気と見分け方

    医療

    足のだるさ、むくみ、痛み、しびれ。これらの症状は、下肢静脈瘤の典型的なサインですが、実は足に同様の不快感を引き起こす病気は他にも数多く存在します。もし、症状の原因が下肢静脈瘤以外の病気であった場合、見当違いのケアを続けていても改善は期待できず、むしろ本来必要な治療が遅れてしまうことにもなりかねません。だからこそ、自己判断は禁物であり、専門医による正確な診断が不可欠なのです。ここでは、下肢静脈瘤と間違えやすい代表的な病気と、その見分け方のポイントをご紹介します。まず、最も注意が必要なのが「深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)」です。これは、足の深いところにある静脈に血栓(血の塊)が詰まる病気で、緊急性の高い状態です。下肢静脈瘤の症状が数ヶ月から数年かけてゆっくり進行するのに対し、深部静脈血栓症は「突然、片方の足がパンパンに腫れ上がり、痛みや赤み、熱っぽさを伴う」のが特徴です。この血栓が肺に飛ぶと命に関わる肺塞栓症になる危険があるため、このような症状が現れたら、すぐに血管外科や循環器科のある救急病院を受診する必要があります。次に、血管の病気という点で混同されやすいのが「閉塞性動脈硬化症」です。これは、静脈の病気である下肢静脈瘤とは逆に、心臓から足へ血液を送る「動脈」が動脈硬化で狭くなったり詰まったりする病気です。最大の特徴は、「歩くと足が痛くなり、少し休むと痛みが和らぎ、また歩き出せる」という症状(間欠性跛行)です。足の冷感やしびれ、安静にしていても痛む場合は重症のサインです。これも「血管外科」が専門となります。また、足のしびれや痛みが主症状の場合、「整形外科」が扱う病気の可能性も考えなければなりません。代表的なのが「脊柱管狭窄症」や「椎間板ヘルニア」です。これらは腰の神経が圧迫されることで、お尻から足にかけて痛みやしびれが生じます。体を前にかがめると楽になる、長く立っていたり歩いたりすると症状が悪化するのが特徴です。足に血管のボコボコが見られないのに、しびれや痛みが強い場合は、整形外科への相談が適切です。さらに、足のむくみが非常に強い場合、「リンパ浮腫」の可能性もあります。これは、がんの手術でリンパ節を切除した後や、原因不明でリンパの流れが滞ることで起こります。

  • ワクチンがない手足口病、頼れるのは免疫と予防だけ

    医療

    インフルエンザ、はしか、風疹、水ぼうそう。私たちの周りには、ワクチンによってその脅威を大きく減らすことができる感染症が数多くあります。ワクチンは、人類が感染症との戦いにおいて手にした最も強力な武器の一つです。しかし、夏の子供たちの間で猛威を振るう手足口病には、残念ながら、現在の日本では定期接種として利用できるワクチンが存在しません。なぜ、これほどありふれた病気であるにもかかわらず、有効なワクチンがないのでしょうか。その理由は、手足口病の犯人であるウイルスの「多様性」にあります。ワクチンは、特定の病原体を標的として、その病原体に対する免疫を人工的に作り出すためのものです。しかし、前述の通り、手足口病を引き起こすエンテロウイルスには、コクサッキーウイルスやエンテロウイルス71など、数十種類もの型が存在します。もし、ある一つの型、例えばコクサッキーウイルスA16に対するワクチンを開発したとしても、そのワクチンは他の型のウイルスには効果がありません。全ての型をカバーできるような「多価ワクチン」を開発することは、技術的にもコスト的にも非常にハードルが高いのです。これが、手足口病のワクチン開発がなかなか進まない大きな理由です。ちなみに、海外、特にアジアの一部の国では、重症化しやすいとされるエンテロウイルス71(EV71)に的を絞った単独のワクチンが開発され、実用化されていますが、日本ではまだ承認されていません。将来的には、複数の主要な型をカバーするワクチンが登場する可能性もありますが、現時点ではその恩恵を受けることはできません。では、ワクチンという強力な盾がない状況で、私たちは一体何を頼りに手足口病と戦えばよいのでしょうか。その答えは、二つしかありません。一つは、感染することでしか得られない「自然免疫」。そしてもう一つが、日々の生活の中で地道に実践する「基本的な感染予防策」です。自然免疫は、一度かかった型のウイルスに対しては強力な防御力を発揮しますが、未知の型には無力です。だからこそ、後者の感染予防策が極めて重要になります。