いつものことだと、高を括っていました。朝、起きた時の首の痛み。ああ、また変な格好で寝てしまったんだな、と。普段なら、二、三日もすれば自然と治るので、今回も特に気にせず、痛みを我慢しながら仕事へ向かいました。しかし、今回は様子が違いました。時間が経っても痛みは一向に引かず、むしろ、じわじわと痛みの範囲が広がっていくような感覚があったのです。同僚に「首、痛そうだね。マッサージしてあげようか?」と言われ、つい甘えて肩や首を揉んでもらいました。その瞬間は気持ちが良いような気がしましたが、後になって思えば、それが最悪の選択でした。翌日、痛みはさらに激しくなり、首だけでなく、右の肩から腕にかけて、重くだるいしびれまで現れ始めたのです。さすがにこれはおかしいと感じ、私はようやく整形外科のクリニックへ向かいました。医師にこれまでの経緯を話すと、すぐにレントゲンを撮ることになりました。そして診察室で告げられたのは、「典型的な寝違えの悪化パターンですね。炎症を起こしている時に、マッサージで刺激を与えたのが一番いけなかった」という厳しい言葉でした。診断は、重度の頸部筋膜炎。そして、腕のしびれは、炎症によって腫れた筋肉が神経を圧迫しているためだろうとのこと。もう少し放置していたら、頸椎椎間K板ヘルニアに移行していた可能性もあったと聞き、私は自分の安易な自己判断を心から後悔しました。その日から、処方された消炎鎮痛薬と湿布、そして首を固定する頸椎カラーが、私の相棒となりました。痛みが引くまで一週間以上かかり、腕のしびれが完全になくなるまでには、さらに時間が必要でした。たかが寝違え、されど寝違え。あの経験以来、私は首に少しでも違和感を覚えたら、決して無理をせず、まずは安静にすることを心に誓いました。