長男が初めて手足口病にかかったのは、保育園に入って最初の夏、彼がまだ一歳半の時でした。最初は微熱と機嫌の悪さだけだったのが、翌日には口の中を痛がって食事を全く受け付けなくなり、手のひらと足の裏にポツポツと赤い発疹が現れました。小児科で「典型的な手足口病ですね」と診断され、そこから一週間、私たちはウイルスとの長い戦いを繰り広げました。口内炎の痛みで泣き叫び、水分すら嫌がる息子に、スポイトで少しずつ麦茶を飲ませる夜。痛々しい発疹が水ぶくれになるのを見ては、代わってあげたいと心から願いました。ようやく症状が落ち着き、元気に走り回る姿を見た時の安堵感は、今でも忘れられません。そして、私は心のどこかでこう思っていました。「辛い思いをさせたけれど、これで免疫がついた。もうこの病気の心配はしなくていいんだ」と。しかし、その安堵は二年後の夏、あっけなく打ち砕かれました。当時三歳になっていた長男が、またしても「手足口病」と診断されたのです。保育園で大流行していると聞いてはいましたが、まさかうちの子が、と耳を疑いました。「先生、この子は一度かかっているんですが…。免疫はつかなかったんでしょうか?」と、思わず医師に尋ねてしまいました。医師は、困惑する私に優しく説明してくれました。「お母さん、手足口病の原因ウイルスはたくさん種類があるんですよ。前回かかったウイルスとは違うタイプのものが、今流行っているんです。だから、またかかってしまうのは仕方のないことなんです」。その言葉に、私は目から鱗が落ちる思いでした。手足口病は一度かかれば終わり、という私の認識は、完全に間違っていたのです。そして、二度目の手足口病は、一度目とは症状の出方も少し違いました。口内炎は前回ほどひどくありませんでしたが、代わりにお尻や膝の周りまで発疹が広がり、回復して一ヶ月ほど経った頃には、手足の指の爪が数本、根本から浮き上がるように剥がれてきて、再び私たちを驚かせました。