糖尿病が気になるけれど、甘いものが大好きで、どうしてもやめられない。そんなジレンマを抱えている人は、決して少なくないでしょう。しかし、糖尿病の予防は、甘いものを完全に断ち切る「禁欲生活」を送ることではありません。大切なのは、その「量」と「質」、そして「食べ方」を工夫し、上手にコントロールしながら、心も体も満足させる「賢い付き合い方」を身につけることです。まず、最も重要なのが「量を決めて食べる」ことです。ダラダラと食べ続けるのではなく、「今日はこのお菓子を一つだけ」「週に一度のご褒美にする」というように、自分の中で明確なルールを決めましょう。そして、大袋のまま食べるのではなく、必ず小皿に取り分けることで、食べ過ぎを防ぐことができます。次に、「食べるタイミング」も非常に重要です。血糖値が最も上がりやすいのは、空腹時です。食後のデザートとして少量を楽しむのであれば、食事で摂った食物繊維などが、糖の吸収を緩やかにしてくれるため、空腹時に単体で食べるよりも、血糖値の上昇は穏やかになります。逆に、間食として食べる場合は、ナッツやヨーグルトなど、タンパク質や脂質を含むものと組み合わせることで、血糖値の急上昇を抑えることができます。そして、「質を選ぶ」という視点も持ちましょう。同じ甘いものでも、洋菓子よりは和菓子、特に食物繊維が豊富なあんこや、血糖値の上昇が緩やかなオリゴ糖などが使われているものを選ぶのがおすすめです。また、カカオ分が高い(70パーセント以上)チョコレートは、ポリフェノールが豊富で、糖質も比較的少ないため、賢い選択と言えます。飲み物に含まれる「見えない砂糖」にも注意が必要です。甘い缶コーヒーやジュース、スポーツドリンクの代わりに、無糖のお茶や水、炭酸水などを選ぶだけで、一日の糖質摂取量は大幅に削減できます。甘いものは、私たちの生活に彩りと癒しを与えてくれる存在です。それを無理に我慢しすぎると、かえってストレスが溜まり、ある日突然、暴食に走ってしまうことにもなりかねません。敵視するのではなく、その特性を理解し、上手に手なずける。そんなしなやかな付き合い方こそが、長く健康的な生活を続けるための秘訣なのです。
糖尿病予防のための甘いものとの賢い付き合い方