動脈硬化は、心筋梗塞や脳梗塞といった、命に関わる病気を引き起こす「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」として知られています。自覚症状がないまま静かに進行するため、気づいた時には手遅れ、ということも少なくありません。しかし、そんな動脈硬化も、実は「足」に、比較的早い段階からSOSサインを送っていることがあります。足の冷えやしびれ、歩行時の痛みといった初期症状に気づき、適切な診療科を受診することが、重篤な病気の予防に繋がります。では、動脈硬化が原因で足に症状が出た場合、一体何科を受診すればよいのでしょうか。まず、最も一般的な相談先となるのが「循環器内科」です。循環器内科は、心臓や血管の病気を専門とする診療科であり、動脈硬化そのものの診断と治療のエキスパートです。血圧測定や血液検査、そして足の血管の詰まり具合を調べるABI(足関節上腕血圧比)検査などを用いて、動脈硬化の進行度を評価し、食事療法や運動療法、薬物療法といった、全身的な管理を行ってくれます。特に、動悸や息切れ、胸の痛みといった、心臓に関連する症状も伴う場合は、循環器内科が第一選択となります。また、歩くと足が痛くなる「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」といった、特徴的な症状が強く出ている場合は、「血管外科」も専門的な診療科です。血管外科では、カテーテル治療やバイパス手術といった、詰まってしまった血管の血流を再開させるための、より専門的で外科的な治療を行うことができます。さらに、足のしびれや痛みが主な症状である場合、「神経内科」で、神経そのものに異常がないかを調べてもらうこともあります。どこに行けばよいか迷った場合は、まずはかかりつけの「内科」や「総合診療科」で相談するのも良いでしょう。医師が症状を総合的に判断し、最も適切と考えられる専門科を紹介してくれます。足に現れる小さなサインを見逃さず、勇気を出して専門医のドアを叩くことが、あなたの未来の健康を守るための、最も重要な一歩となるのです。