適切な手当てをしたはずなのに、擦り傷が治るどころか、なんだか様子がおかしい。そんな時は、傷口で細菌が繁殖し、「化膿」してしまっているのかもしれません。化膿した状態を放置すると、感染が周囲の組織や全身に広がり、重篤な状態に陥る危険性もあります。化膿のサインを早期に見抜き、正しく対処することが重要です。化膿しているかどうかを見分けるための、チェックポイントは4つ、「赤み」「腫れ」「熱っぽさ」「痛み」です。これを「炎症の四徴候」と呼びます。まず、傷の周りが、怪我をした直後よりも、明らかに「赤み」の範囲が広がってきている場合。次に、その赤い部分が、熱を持ってパンパンに「腫れ」上がっている場合。そして、触ってみると、明らかに周囲の皮膚よりも「熱っぽさ(熱感)」を感じる場合。さらに、何もしなくてもズキズキとした「痛み」が続く、あるいは痛みがどんどん強くなってくる場合。これらのサインが揃っていたら、傷口が化膿している可能性が非常に高いです。加えて、傷口から、黄色や緑色がかった、ドロリとした「膿」が出てきたり、不快な臭いがしたりするのも、化膿の典型的な症状です。このような状態になってしまったら、もはや家庭でのセルフケアの範囲を超えています。直ちに「皮膚科」や「形成外科」、「外科」などの医療機関を受診してください。自己判断で、市販の抗生物質入りの軟膏を塗るだけでは、効果が不十分な場合が多く、診断を遅らせる原因にもなりかねません。病院では、まず、傷口を洗浄し、膿を排出する処置が行われます。場合によっては、感染の原因となっている細菌を特定するために、膿を採取して培養検査を行うこともあります。そして、その細菌に有効な「抗生物質」の内服薬が処方されます。重症の場合は、点滴による抗生物質の投与が必要になることもあります。化膿を防ぐためには、怪我をした直後の「徹底的な洗浄」が何よりも大切です。傷口の汚れを、水道水でしっかりと洗い流すこと。この最初のステップを怠ると、化膿のリスクは格段に高まります。傷の様子の変化に常に気を配り、少しでも「おかしい」と感じたら、専門家の助けを借りる勇気を持つことが、深刻な事態を防ぐ鍵となります。
擦り傷が化膿した時の見分け方と対処