あなたのパートナーが、最近、「少し歩くと、すぐに足がだるくなる」「坂道を上るのがつらい」と、こぼしていませんか。あるいは、あなたは、彼の足がいつも冷たいことや、足の色が少し悪いことに気づいていませんか。これらの症状を、彼自身も、そしてあなたも、「年のせいだろう」「仕事で疲れているだけ」と、軽く考えてしまっているとしたら、それは非常に危険な見過ごしかもしれません。その足の不調は、足だけの問題ではなく、彼の全身の血管で「動脈硬化」が進行していることの現れであり、将来的には「心筋梗塞」や「脳梗塞」といった、命に関わる病気へと繋がる、重大な警告サインなのです。足の動脈硬化(閉塞性動脈硬化症)と、心臓の血管の動脈硬化(狭心症や心筋梗塞)は、原因が同じ「動脈硬化」という、一つの病気の異なる側面です。高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙といったリスク因子によって、全身の血管はじわじわと蝕まれていきます。そして、たまたま足の血管で先に症状が現れた、というのが、閉塞性動脈硬化症なのです。研究によれば、歩くと足が痛くなる「間欠性跛行」の症状がある人は、症状がない人と比べて、心筋梗塞や脳梗塞を発症するリスクが、約3〜4倍も高いことが報告されています。つまり、「足の痛みは、心臓の悲鳴」とも言えるのです。パートナーとして、あなたにできることは、まず、彼の足の症状の重要性を、彼自身に理解してもらうことです。「歩くと痛くなるのは、危ないサインなんだって。心配だから、一度、循環器内科で診てもらおうよ」と、優しく、しかし真剣に、受診を促してあげてください。男性は、自分の体の不調を認めなかったり、病院に行くのを嫌がったりする傾向があります。あなたの後押しが、彼の重い腰を上げるきっかけになります。そして、もし動脈硬化と診断されたら、二人で生活習慣の改善に取り組むことが大切です。塩分を控えた食事を一緒に考えたり、禁煙をサポートしたり、週末に一緒にウォーキングを始めたり。こうした二人三脚の取り組みが、彼の血管の健康を守り、ひいては、二人の未来を守ることに繋がるのです。彼の足の小さなサインを見過ごさないでください。それは、あなたへの、そして二人の未来への、大切なメッセージなのです。
彼の足の痛みを放置しないで。動脈硬化と心筋梗塞のリスク