「大きな病院のほうが設備が整っていて安心だ」という思い込みは、時に私たちの健康管理を非効率にさせ、出費を増大させる原因となります。実は、地域の個人病院(診療所)こそが、最もコストパフォーマンスが高く、かつきめ細やかな医療を提供してくれる場所なのです。個人病院を使いこなすための第一の知恵は、専門分野だけでなく「医師のキャリア」を確認することです。現在、街中で開業している医師の多くは、かつて大学病院や総合病院で部長クラスや専門医としてバリバリ働いていたスペシャリストです。つまり、個人病院という身近な場所で、大病院のトップクラスと同等の知見を、数分の一の費用と待ち時間で受けることができるのです。例えば、胃の不調を感じた際、いきなり大病院の消化器内科へ行くよりも、内視鏡の専門医を掲げる個人クリニックを訪れる方が、医師本人が検査を行い、その場ですぐに画像を見ながら詳しく説明してくれるという、より密度の高い医療を享受できます。個人病院の第二のメリットは「無駄な検査をしない」柔軟性にあります。大病院ではマニュアルに従って広範囲な採血や画像診断が行われがちですが、個人病院の医師は、あなたのこれまでの経過や体質を知っているため、ターゲットを絞った最小限の検査で原因を特定することが可能です。これにより、不要な検査費用を削ることができます。第三の知恵は「予防と管理のパートナー」にすることです。個人病院は、病気になった時だけでなく、健康診断の数値を改善するための相談や、予防接種のスケジュール管理など、人生のあらゆるステージで寄り添ってくれます。特に高齢期に入ると、複数の病気を抱えることが増えますが、一人の「かかりつけ医」がすべての薬を把握して調整してくれることで、多剤併用(ポリファーマシー)による副作用のリスクや薬代の無駄を防ぐことができます。また、個人病院は地域住民とのネットワークを持っており、必要であれば介護保険の申請や地域の福祉サービスへの橋渡しを驚くほどスムーズに行ってくれます。大病院での支払いが「検査や処置への対価」であるとするならば、個人病院での支払いは「あなたの人生を知る専門家へのコンサルティング料」だと言えるでしょう。個人病院は決して大病院の廉価版ではありません。むしろ、医療の最前線であなたの個性を尊重し、最も効率的に健康を守ってくれる最高のマニュアル、それが個人病院なのです。信頼できる先生を見つけ、長く付き合うこと。その信頼関係の蓄積こそが、どんな高額な保険よりも確実な、あなただけの健康の安全保障となるはずです。
地域密着の個人病院を使いこなす知恵