手足口病に一度かかると、その原因となった特定のウイルスに対する免疫がつく、という話を聞いて、多くの人が次に抱く疑問は「その免疫は、どのくらいの期間、有効なのだろうか?」ということでしょう。はしか(麻疹)のように一度かかれば生涯免疫が持続する病気もあれば、インフルエンザのように毎年のようにかかる病気もあります。手足口病の免疫は、一体どちらに近いのでしょうか。この問いに対する現在の医学的な見解は、「一度感染した特定の型のウイルスに対する免疫は、非常に長期間、多くの場合は生涯にわたって持続すると考えられる」というものです。私たちの体には「免疫記憶」という優れたシステムが備わっています。一度ウイルスと戦った経験を持つ免疫細胞(メモリーB細胞やメモリーT細胞)は、体内で長期間生き続け、同じウイルスが再び侵入してきた際に、即座にその情報を思い出して大量の抗体を生産し、病原体を排除する準備を整えます。この免疫記憶のおかげで、私たちは同じ型のウイルスに再感染することを免れているのです。手足口病の原因となるエンテロウイルス属のウイルスに対する免疫も、この原則に則っており、基本的には一度獲得すれば、その型に対しては一生涯、有効な防御壁となってくれると考えてよいでしょう。しかし、ここでいくつかの注意点を加えておく必要があります。まず、これはあくまで「同じ型」のウイルスに対する話であるということです。前述の通り、手足口病の原因ウイルスは数十種類も存在するため、ある型に対する生涯免疫を持っていても、別の型には全くの無防備であり、感染する可能性があります。これが、手足口病に何度もかかる理由です。次に、免疫の強さや持続期間には「個人差」があるという点です。ほとんどの人では生涯免疫が期待できますが、体質やその後の健康状態によっては、免疫記憶が時間と共に少しずつ弱まっていく(減衰していく)可能性も理論的には否定できません。そのため、非常に稀なケースではありますが、過去に感染したと全く同じ型のウイルスに、数十年後、再び感染し、軽い症状が出るといったことも起こり得るかもしれません。特に、加齢や他の病気によって免疫力全体が低下している場合には、そのリスクがわずかに高まる可能性も考えられます。
手足口病の免疫、その効果は一生もの?