一人の子供が保育園から手足口病をもらってくると、それはしばしば家庭内での感染爆発のゴングとなります。最初に発症した子の看病に追われる中、気づけば他の兄弟や、看病していた親自身にも発疹が…という悪夢のようなシナリオは、多くの家庭で現実に起こっています。なぜ、手足口病はこれほどまでに家庭内で広がりやすいのでしょうか。そして、まだ感染していない、免疫のない家族をどうすれば守れるのでしょうか。家庭内で感染が蔓延しやすい最大の理由は、手足口病の主要な感染経路が「接触感染」と「飛沫感染」であり、家族という密接な空間では、これらの経路を完全に断ち切ることが非常に難しいからです。飛沫感染は、咳やくしゃみに含まれるウイルスを吸い込むことで感染します。そして、より厄介なのが接触感染です。ウイルスの付着した手で口や鼻を触ったり、ウイルスが含まれた便の処理が不十分だったりすることで感染が広がります。特に、手足口病のウイルスは、症状が治まった後も、比較的長い期間、便の中から排出され続けるという特徴があります。回復後、数週間にわたってウイルスを排出し続けるため、本人はすっかり元気になっていても、おむつ交換などを通じて、家族に感染させてしまう可能性があるのです。まだ手足口病にかかったことのない、免疫を持たない乳幼児の兄弟や、子供の頃にかかった型とは違うウイルスへの免疫がない親は、このウイルスに対して全くの無防備です。そんな家族を感染から守るためには、家庭内での徹底した感染対策が不可欠となります。まず、最も重要なのが「手洗い」です。感染した子の看病をした後、特に鼻水を拭いたり、おむつを交換したりした後には、必ず石鹸と流水で丁寧に手を洗うことを徹底してください。アルコール消毒も有効ですが、手足口病の原因となるエンテロウイルスは、アルコールが効きにくいノンエンベロープウイルスであるため、物理的にウイルスを洗い流す流水での手洗いがより重要です。次に、「タオルの共用を避ける」ことです。洗面所やトイレのタオルは、家族それぞれで別のものを使うか、ペーパータオルに切り替えましょう。食器やカトラリーの共用も避けるべきです。また、感染した子供がなめたり触ったりしたおもちゃは、こまめに消毒することが望ましいです。