診察室で毎日多くの子供たちを診ていますが、溶連菌発疹を目の当たりにして動転される親御さんの気持ちは痛いほどよく分かります。昨日まで元気だった我が子の体が、一晩で真っ赤に染まり、触ればヤスリのようにザラザラしている様子は、確かに異常な事態に見えるでしょう。しかし、小児科医としてまずお伝えしたいのは、溶連菌発疹が出ているということは、診断が非常に「つきやすい」状態であり、正しい治療への最短距離にいるということ、つまり「安心しても大丈夫な段階」であるということです。かつて猩紅熱は命に関わる恐ろしい病気とされていましたが、現代では優れた抗生物質があります。私たちが診察で苺舌や全身のザラザラした発疹を確認した際、内心では「よし、正体が分かった。これで確実に治してあげられる」と安堵しているのです。親御さんからよく受ける質問に「この発疹は痒いのでしょうか、何か塗ってあげたほうがいいですか」というものがあります。答えは、溶連菌発疹そのものは強い痒みを伴わないことが多く、特別な塗り薬は不要なことがほとんどです。もし激しく掻きむしるようなら、それは乾燥や熱による不快感、あるいは別の蕁麻疹などの併発を考えます。無理に冷やしたり、市販の痒み止めを塗ったりするよりも、まずは処方された抗生剤を飲ませて、体内から菌と毒素を追い出すことが、皮膚を鎮める一番の近道です。また「いつからお風呂に入れていいですか」という相談も多いです。熱が下がり、本人が元気であれば、短時間の入浴は構いません。むしろ、皮膚を清潔に保つことは、溶連菌発疹の後に起きる皮剥けの時期に二次感染を防ぐ助けになります。ただし、長湯をして体が温まりすぎると一時的に赤みが強く見えたり、痒みが出たりすることがあるので、ぬるま湯でさっと済ませるのがコツです。そして、私から最も強くお願いしたいアドバイスは、薬を途中で止めないという「鋼の意志」を持っていただくことです。溶連菌の菌は非常にしぶとく、二、三日の服用で熱が下がり、発疹が消えると、親御さんは「もう治った」と油断してしまいがちです。しかし、そこからが正念場です。不完全な除菌は、心臓の弁を傷つけるリウマチ熱や、腎臓のフィルターを壊す腎炎といった、一生残る後遺症の火種となります。私はよく診察室で「この十日間のお薬は、今を治すための半分、将来の健康を守るための半分なんですよ」とお話しします。溶連菌発疹は、子供の体が発した強い警告です。その警告を真摯に受け止め、プロである私たち医師と協力して、最後まで完治というゴールを駆け抜けてください。苺のような舌も、ザラザラした肌も、お子さんの成長の物語のたった一ページに過ぎません。数週間後、綺麗になった皮膚を撫でながら、あの時は大変だったねと親子で笑い合える日が必ず来ますから。
溶連菌発疹に悩む親御さんへ贈る小児科医の助言