それは穏やかな五月の連休が明けたばかりの、ある火曜日の夕方のことでした。幼稚園から帰宅した五歳の娘の顔を見ると、両方の頬がまるで外でずっと遊んでいた後のように、ぽっと赤く染まっていました。「今日は日差しが強かったのかな」と最初は日焼けを疑いましたが、お風呂上がりに体を確認して私は息を呑みました。腕の付け根や太ももに、レース状の不思議な赤い網目模様の発疹が広がっていたのです。熱を測っても三十六度台の平熱。娘自身は至って元気で、食欲もあり、おもちゃで楽しそうに遊んでいました。しかし、その網目模様を見て私は、ママ友の間で以前話題になっていたりんご病のことが頭をよぎりました。翌朝、すぐに小児科を受診したところ、医師は一目見るなり「典型的なりんご病ですね」と診断を下しました。私が最も心配したのは、いつからうつるのか、そして幼稚園の他のお友達にうつしてしまったのではないかという罪悪感でした。医師に相談すると、意外な答えが返ってきました。「お母さん、この赤いほっぺが出たときには、もうお友達にうつす心配はないんですよ。本当にうつる時期は、一週間くらい前の、鼻水が少し出ていたあの時期なんです」と言われたのです。思い返せば一週間前、娘は少しだけ鼻をグズグズさせていましたが、一日寝たら治ったのでただの鼻風邪だと思い込んでいました。あの時に、幼稚園で誰かにウイルスを渡してしまっていたのかもしれないと思うと、やりきれない気持ちになりましたが、ウイルスを完全に避けることは不可能だということも教わりました。さらに驚いたのは、その三日後、私自身の体に異変が起きたことです。突然の激しい腰痛と、手首や指の関節がパンパンに腫れ上がるような痛み。歩くのさえ辛いほどの関節痛に襲われ、私は自分が何か別の重病にかかったのではないかと恐怖を感じました。実はこれこそが「大人がりんご病にうつった際」の典型的な症状の一つだったのです。子供はほっぺが赤くなるだけで済みますが、大人が感染すると、発疹よりも関節炎や強い倦怠感が前面に出ることが多いのだそうです。私は一週間ほど家事もままならない状態が続き、自分の体力の限界を痛感しました。りんご病は、子供から大人へ、そしてまた別の誰かへと、気づかないうちに静かにバトンを渡していく病気です。赤いほっぺは「もううつらないよ」という合図ですが、それまでに潜伏していたウイルスのしぶとさを、私は身を以て体験することになりました。もし今、お子さんの頬が赤くなっているのを見つけたら、それは戦いの終わりのサインです。でも、周りの大人たちはこれから来るかもしれない不調に備え、手洗いをより一層丁寧に行う必要があるのだと、声を大にして伝えたいです。